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喜撰山

わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり

<喜撰法師  古今集>


 なんだか連日ポカポカ陽気で一気に春めいてきました。まだかろうじて2月だというのに。
喜撰山_e0083097_2340499.jpg
 久しぶりに宇治の山を歩いてきました。
喜撰山(416m)は宇治の最高峰。とはいえすぐ近くまで車道が伸びているのですぐ着くだろうと思いきや、数年来の運動不足、ここに極まれりと実感しました。
歩き始めてにわかに心臓はバクバク、息はゼエゼエ・・・。

これと言って展望の利く山でもないし、森の中なので冬場以外は歩きにくいことこの上なし。
そんなわけで山頂まで辿り着いたのは今回が初めてでした。

喜撰山_e0083097_23433226.jpg
 頂上も木立に囲まれていてやはり展望なし。
しかしこの山は百人一首でお馴染み(?)の喜撰法師が住んだ(修行かな?)所らしい。たしかにあの歌は記憶の片隅を探せばなんとか見つかる歌だと思います。
この山頂直下にその洞窟があるというのは知っていたので今日は足を延ばしてみました。おそらく地元の山岳会が残した道しるべをたよりに急な斜面を下りていきます。
本道から寄り道して下降する時というのはなかなか不安になるものです。
「どうせまたあとで登り返すんだからなあ・・・、あんまり下がりたくないなあ。」

喜撰山_e0083097_23533450.jpg
 尾根筋から標識に促され、西向きの斜面をトラバースしながら進むとなにやら怪しい岩の塊が目に飛び込んできました。
そもそもこのエリアは花崗岩地帯のように岩頭が露出しているようなところは殆どなく、どこもかしこも落ち葉に埋め尽くされているので、「洞窟なんてあるのかあ?」と怪訝に思っていました。
なんともかわいいお洞です。

この時点で既に汗だく。あまりに暖かいのでフリースは置いてきましたが、それでもパーカーがただの荷物になってしまいました。ペットボトルのお茶も1本じゃあ足りないようです。

喜撰山_e0083097_062737.jpg どれどれ・・・、どんな洞窟なのかな・・・?

と、正面に回ってみると!!

洞窟というよりは岩の凹みに近い感じでした。しかしその奥には小さな喜撰法師様が水に浸かってしっかりと鎮座されていました。

なるほどねえ。きっとこの法師様がこの山の主なんだな。
今まで沢山の虫を採らせてくれてありがとうございました。(いつもは他の神社で採集祈願してたんだけど・・・)


 さて今回の目的はもう一つありました。
いろいろな角度から宇治の山を眺める事がありますが、数年前から気になっていた場所があります。それは遠くから臨むと常緑樹が大半を占めるエリアに突然落葉樹の塊が横たわっているような場所なのです。春の新緑、秋の紅葉と色彩の地味な常緑樹の中にそこだけ絢爛豪華な色の絨毯を敷いたようです。しかもそのエリアは急峻な斜面なのにそこだけ平らで台地状に見え、日当たりも良く、
「ああ〜〜、なんかあそこ良さそう!」
「行ってみた〜い!」
「いい虫とれるかも?」
と自分の中で勝手に『別天地』扱いしてきました。

ところが、自然の要害に阻まれ正面からは挑めず、もちろん登山道もなし。
辿り着くには山の反対側から延々と歩き、途中からは道無き道の森の中を探りながら行かなければならないようです。ネットや国土地理院の地図で何度も検討してきましたが、行けるところまで行ってみる事にしたのです。

 喜撰山を一度下りて車道を少し歩きましたが、やがて「おそらくここだ。」という地点からおもむろに山の中に入っていきました。尾根歩きとは違い、見通しのまったく無い森の中は現在地を認識するのが難しいです。しかも急な斜面を獣道のような筋を辿りながら進むと上がったり、下がったりで目的の台地に近づいているのか、下がりすぎたのか、はて?
連日の陽気のせいか地面を覆う落ち葉はどれもカサカサに乾燥しています。長年使い古した登山靴のソールはただでさえツルツルなので落ち葉に足を取られて何度も転びました。
喜撰山_e0083097_105971.jpg 気がつくとアセビの蕾みが今にも開きそうです。
やはり春はすでにやって来ている模様。

携帯電話のGPSが使えるんじゃないかと考えてきましたが、電波不良でなかなか接続できず、業を煮やして勘で進んだりしました。やっとGPSが接続できたと思いきや、目指す方向からややずれた方角に進んでいた事に気づきました。
ヤバい、時間がない。
少し方向を修正してやや開けた林床に出ました。
ああ、見えた。・・・・まだ30分以上掛かるな。行って・・・、帰って・・・・・・・・・・・ダメか。
林道ならまだしも道無き山の中で日暮れを迎えるわけにはいかないので苦渋の決断。『別天地』を目の前にして引き返す事にしました。ざ〜んねん。
喜撰山_e0083097_143118.jpg
 それでも帰りキツかった事を考えれば引き返して良かったようです。初めて入ったエリアだったけど、沢筋はイノシシのヌタ場だらけ。このあたりはどこでもそんな感じだなあ。
下草が繁茂したら山の中は殆ど歩けないから、次のチャレンジはいつになる事やら。家を出る前に考えていた別の案、「カゴノキの材拾い」にすれば良かったかな。

喜撰山_e0083097_0592056.jpg
 喜撰山を臨む。(右奥が山頂)

おっと忘れた!
肝心の採集は?
歩いてばかりで殆ど持ち帰りはありませんでした。しかし時たま朽ち木を崩してみたり、落ち葉を篩ったりはしましたが、う〜ん・・・。朽ち木はアカハラクロコメツキとか、やっぱりエグリゴミムシダマシとか。(笑

 ところが今回、山道の途上で二度、溜め糞に遭遇しました。(またそれか?)
無視は出来ません。落ち枝でほじくりながら観察です。チビシデムシ、ハネカクシ数種が蠢いていました。
そして大きな糞の塊をひっくり返してみるとそこには直径1cmくらいの穴が地下に伸びていました。
初めドッキリ、しかしすぐに「どうせいつものアレだろう。」と意気消沈。掘り起こしてみると案の定センチコガネがコロコロと出てきました。やっぱり。彼らは寒いうちから活動してるよね。
喜撰山_e0083097_1191781.jpg

モンケシガムシ

 模様付きのガムシという事でちょっと嬉しい初採集。

しかし・・・、ガムシ。
・・・・ガムシ、・・・・・・ガムシ。

微妙だなあ〜。
by aile21 | 2010-02-24 01:26 | とうちゃん


京都南部の野山で宇治虫親子が発見した生き物の記録  出演 とうちゃん(aile21)・かあちゃん・ちび宇治虫(showzine)


by aile21

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