腐海の底に

 ※トラップを仕掛けたら何日も放置せず必ず回収しなければなりません。



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 彼岸花があちらこちらで満開です。
寒いくらいの涼しい日々が続いています。日中は晴れ渡っていても爽やかな風が気持ちの良い季節です。日陰にいると涼しく、日向では刺さるような日差しがしみ込んでくるようです。
 
 昼食後、河川敷までトラップのチェックに行ってきました。今までは駐車ポイントからずいぶん歩かなくてはならなかったのでグーグルの航空写真を利用したら別ルートでポイントに近づける事に気づきました。
土手下の道は様々なバッタが跳び交い大きなショウリョウバッタは「チキチキチキ・・・」と音を立てながらあちこちの草むらに飛び込んでいきます。私が子供の頃はショウリョウバッタの事をチキチキバッタと呼んでいました。チキチキチキ・・・。

 今回のトラップチェックは前回から少々日にちが空きました。天気が悪い事や仕事の関係もありますが、それ以上の理由があります。
通常のPT(ピットフォールトラップ)はオサムシやゴミムシなどオサムシ科の虫を落とす事を主な目的に使いますが、シーズン中に長時間放置すると次から次へと虫が落ち続けてしまいます。それらはやがてお互いを攻撃、捕食を始め、中は阿鼻叫喚の様相を呈してきます。雨が降ると水抜き穴を空けていても溜まった死骸が積もっているともちろん水が溜まり、生きている虫たちも溺れ死んでしまいます。昆虫を採集して標本にしようと思うならバラバラになった死骸や腐って腐臭を放っている塊に用はありません。コップの口まで溜まるまで虫はひたすら落ち続け無駄に死んでゆくだけです。マナーとは人間の都合で使われる言葉ですが、利用目的もなくひたすら虫を殺し続けるトラップの放置はとてもマナーに適っているとは言えないでしょう。

今までは仕掛けたら可能な限り翌日、遅くても2〜3日後までにチェック・回収をしてきましたが今回は1週間近く経っています。途中土砂降りの雨もありました。きっと死骸が堆く溜まりなかなか凄い臭いを放っているでしょう。

而して一つ、二つ・・・と地面に埋めたコップを覗き込んでいくうちにやっと成果が上がった事に安堵しました。


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 ヤマトモンシデムシ
 Nicrophorus japonicus Harold


 これがこの秋狙いの甲虫でした。先日のオオキベリアオゴミムシに次いで昨年の宿題を達成できました。「えっ!? そんな虫が?」なんて思われる方もいらっしゃるでしょう。
コップの中は真っ黒に死んだゴミムシが堆積してえも言われぬ腐臭を放っていました。殆どがオオクロナガゴミムシとオオナガゴミムシ。僅かにセアカヒラタ、キアシヌレチ、アオ、コガシラアオ、オオゴモク、ミイデラ等々いつもの面々。加えて白い蛆がノソノソと蠢いている光景はさすがに画像でアップするのを躊躇うので川の水でコップを奇麗に洗い、ヤマトモンシデだけピックアップしました。それでもシデムシには当然多くのダニが張り付いています。
 今までこの地でトラップを仕掛けるとオオヒラタシデムシ(時にオオサカヒラタシデムシ)ばかりが大量に採れてきましたが、今回はオオヒラタがたった一つ。これは意外な結末でした。
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 モンシデムシ属はというとクロシデムシとヨツボシモンシデムシが多く目についてきました。他に沖縄で採集したネパールモンシデムシの3種しか標本にありません。
昨年初めて見た時(結局逃げられましたが)には「でかいなあ・・・」というのが第一印象でした。クロシデムシには及びませんがヨツボシモンよりはるかに大きいです。このグループは生きている状態では腹部節板が伸びきっているので一層大きく見えます。死んでしまうと乾燥過程で徐々に縮んでしまうのですが。

この個体で35mm。横幅もあるのでなかなかのボリュームでした。

 ヤマトモンシデムシの希有な生態として「子育て」が言われています。雌雄で巣穴を掘り産卵、孵化した幼虫に摂食を手伝うというおよそ虫とは思えない行動をするそうです。
5exs.採集したうち2exs.は元気に生きています。時々交尾のような行動をするのでやはり気になります。このまま飼育してみたら・・・。

しかし餌は何をどう確保するのか?
彼らの臭いに耐えられるのか?
今回は自信がないので止めときます。(笑

 それにしてもシデムシ狙いでトラップを掛けるのは勇気が要ります。まずは蛹粉でゴミムシを集めて、それらを死なせ腐らせ餌にする。やがて鼻をつまむほどの腐臭が漂えばシデムシがやって来るという仕組み。しかし第一段階のゴミムシにレアなゴミムシが入っていたらと思うと心配です。このポイントはオオヨツボシゴミムシやイグチケブカゴミムシなども採集しています。もっと心配なのはセアカオサムシもここで採集したのでした。トラップをチェックする時は
「もしかしてセアカオサの追加でも採れているかも」という淡い期待と
「ベイト(餌)になった残骸の中にセアカオサのエリトラでも見つけようものならショックは甚大だな」という複雑な気持ちが交錯していたのでした。

 とりあえず目の前の課題はクリヤーできたのでそろそろ山にも目を向けようと思います。(シデムシなんて採ってないでコブ叩きでも行けばいいのに・・・と自嘲気味)
 











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by aile21 | 2010-09-26 21:49 | とうちゃん


京都南部の野山で宇治虫親子が発見した生き物の記録  出演 とうちゃん(aile21)・かあちゃん・ちび宇治虫(showzine)


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