フェモラータの体色変化

 3月に採集してきたフェモラータオオモモブトハムシの幼虫がぼちぼち羽化してきました。他の虫屋さんではすでに羽化のピークは過ぎているようですが我が家ではこれからのようです。それは材箱の保管場所を冷涼な玄関内にした事が大きな要因かと思います。
実は1週間ほど前に羽化第1号がいたのですが蛹の段階でいじくりすぎて羽化不良を起こして息絶えてしまいました。それはもうおぞましい姿に変わり果て悲しくなりました。そのため観察をやり直したのでした。

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 鮮やかなメタリックピンクのフェモラータですが蛹から成虫になる過程でどのようにあの色彩が発現するのか興味が湧きました。繭を解体して蛹を取り出しその様子を経過観察していきます。

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 淡黄色の蛹はやがて脚や頭部の末端からうっすらと赤褐色に色づいていきます。また腹部や鞘翅は半透明なものが光沢を帯びていきラメ調の緑色がかすかに見え始めます。関節は特に変化がはやくみるみるうちに黒くなってきました。時間経過とともに発色は広がっていき伸びた腹部を残してほぼ全体が濃く鮮やかな緑色に染まったのでした。後半では頻繁に脚がモゾモゾと動き出します。ほぼ羽化は終わっているように見えます。この過程でふと疑問に思いましたが、蛹から羽化する時に一枚皮を脱いで採集的な形態変化をすると思っていたのです。しかし幼虫・前蛹から蛹に変化する時のような目につく脱ぎ跡が見当たりません。まるで姿形を変えずにいつのまにか成虫になっていたような印象です。
「蛹ってそんなものだったかな・・・」
そんな腑に落ちない感を抱きながら観察していたのですが、やはり一枚脱いでいた事がわかりました。それは極薄い膜です。一見、ゴミか排泄物のように見えますが腹部末端におしやりクチャクチャに押し畳まれるのでわかりづらかったです。また繭の中での羽化は余分な水分を排泄しているのか底の方にドロリとした液体が溜まっています。この水分に浸かるとさらに排泄物様に見えるのでした。(下段中央の蛹では後肢に絡み付いているのがわかります)
羽化不良を起こした個体はこの薄皮を脱げきれずに息絶えました。もしかしたらこの皮をスムーズに脱ぐにはそこそこの水分あるいは湿度が必要なのかもしれません。観察用に繭から摘出した蛹でも無事羽化したものがいるので妥当かどうかはわかりません。

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 全身が緑色に染まると活動も活発になりほぼ羽化完了です。まだ腹部の膨らみが縮みきっていませんが。しかし実はこの状態、本来まだ繭の中なのです。当初この状態を目にした時には「フェモラータも個体ごとに体色変異があるのか」と感じましたがそれは間違いだったようです。ここから更に劇的変化を遂げていくのでした。
ちなみにこの個体はこの状態で絞めました。野外で採集をしていると時々テネラル(羽化直後)の虫を目にします。大概の場合、色づきが甘く褐色あるいは飴色だったりします。それを絞めて標本にするとその状態のまま残ります。今回の緑色が絞めたあとでも残るのかどうか気になったのです。本来なら同じ個体を通して観察していくべきでしょう。しかし材箱の中の繭を6〜7個開封して調べてみましたがすでに皆赤くなっていました。全ての繭を開封するのは諦めて経過観察は同時に見ていた別の摘出個体で続ける事にしました。

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 鮮やかな緑色だった体色はやがて青黒く沈んだ色調になっていきます。黄色味が抜けて青紫になるとやがて鞘翅の縁から赤味が発現してきます。その状態では遠目に見るとかなり黒ずんだ姿にみえるのでした。やがてジワジワと赤味が広がっていき全体を覆っていきます。最終的には緑から青への過程が嘘のように発色の良いピンク色に染まるのでした。また光の角度によっては蛍光色の黄色のような反射をするようにもなりました。
繭から自力で這い出してくる成虫達はみなこの赤い状態になってから出てくるようです。採集時に繭を傷付けたりして脱出しやすくなるとまだ緑色の残った状態でも出てきてしまうことがあるようですが。

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 こうしてフェモラータオオモモブトハムシの羽化が完了です。(この後、活動していくためにあるいは生殖機能を成熟させるために後食が必要なのかどうかはわかりません。)

それにしてもなんとも目の覚めるような色彩です。きらびやかな発色をなんとか写したいと蛍光灯の間近まで近づけて撮影してみたら、反射が激しいせいかハレーションをおこしてしまいなんだか嘘臭い程の発色になってしまいました。ピントも合いにくいです。しかし貫禄十分、満足しました。

 分布拡大が危惧される外来昆虫ですが、ハムシにしては大きいもので20mmに達するほどの大きさと誰もが目を見張る美しさを持ち合わせるフェモラータは観察にはうってつけでした。
しかしまたこういう記事が『フェモラータ礼讃』を煽るものではない事だけ付け加えておきたいと思います。少し不安ですが。
おそらく材箱からは30頭くらい出るのではないかと思いますが、気を抜かず残材は自ら焼却処分するのを忘れないようにしたいと思います。

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彼らのお気に入りのポーズ。この姿であちこちに静止しているとなにやら滑稽で和みます。
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by aile21 | 2011-06-11 11:31 | とうちゃん


京都南部の野山で宇治虫親子が発見した生き物の記録  出演 とうちゃん(aile21)・かあちゃん・ちび宇治虫(showzine)


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