大顎発見
備忘録
6月14日
上海も梅雨入りしたようで蒸し暑い日々が続いています。この街にも慣れてきたせいかワクワクドキドキする感覚が鈍ってきたかもしれません。先週の日曜日もそして今日ものんびり部屋で過ごしていました。今日も早起きしましたが、洗濯をしたり、調子の悪いパソコンをいじってみたりしていたら気がつくと昼を過ぎていました。
うかうかしているとあっという間にシーズンが去ってしまいそうです。午後になって数時間だけでも散策して来ようと出かけることにしました。
毎朝出勤途中にバスの車窓に気になる林があります。アパートからは地下鉄で4駅ほど。いつも「けっこう桑が生えてるな………、」と。
しかし現地に着いてみると林とはいえ、樹木の幹の太さも樹高も揃っていて、どれも植林されたものなのは一目瞭然です。どこもかしこも新しい林ばかりのようで心が逸りません。ところどころで姿を見せる運河では多くの釣り人が糸を垂らしています。網で掬えば珍しいゲンゴロウでも掬えるのでしょうか。
木々を眺めながら歩いているとポツポツと桑が生えています。地元京都では桑の木があれば何かしらの虫に出会えるイメージがあります。とはいえキボシカミキリやヒメヒゲナガだったりしますけど。ところが幹を眺めても梢を眺めても静かなもんです。羽脱孔はあちこちに見受けられるのできっと……、いや、やっぱりキボシかな。
道路沿いの木に洞を見つけました。
何気に覗いてみると、おっと!
なにやら虫の腹が見えました。そこそこ大きい。
むむむ…、
地元ではこういう場合は大概ゴキブリです。オオゴキブリです。
すると私に覗かれていることに気づいたのかその虫がノソノソ動き出して洞の奥へ移動を始めました。その瞬間、黒光りするエリトラがチラと垣間見えました。
これは確認しなければなりません。落ちている小枝を使って掻き出そうと試みますが案の定、奥へ奥へと引っ込んでいきます。こうなると難しいかな…、と思いつつ、ふと幹の反対側へ回り込んでみると、別の穴からそいつの尻が見えています。そうかこの穴は繋がっているのか。
それからは彼の逃げ場を無くすため、あっちから、こっちから小枝を差し込んで追い込んでいきます。その作戦中、穴の中からスッと姿を現した大顎を目にした時はショックでした。
なんだこいつは!?
木の洞に小枝を何本も突っ込んでカリカリほじくっている謎のおじさんに気づいた中国人の若いグループが立ち止まってこちらを見ています。やがてなにやら中国語で話しかけてきましたが私は彼らが何を言っているのか皆目わかりません。ただ手招いて「この中に何かいる」ということを指差しながら伝えるしかありませんでした。それに気づいた彼らも木の棒を使ってあちこちの穴から虫の追い出しに参加しました。その間、私は一歩下がって眺めていました。全く喋らない私を訝しく感じているであろうと、拙い中国語で「私は日本人です。」と伝えると、ああ、と納得したような反応をしながらも変わらず一緒になって夢中に虫の追い立てを続けました。それでもその虫はなかなか洞の中から出てきません。やがて中国人の彼らも諦めてしまったので、再び私の番です。せっかくだから彼らに何とか見せてあげたいと、洞の中に指を強引に突っ込み押さえた虫を引っ張り出しました。
これは凄い!!
一見、何クワガタかわかりませんでしたが、落ち着いて観察すればやはりヒラタのようです。しかし日本のヒラタクワガタでこんなに大顎の長いものは見たことがありません。チョウセンヒラタクワガタなのでしょうがまさかこんなに大きいものがいるとはビックリです。
中国人の一人が嬉しそうに眺めていたので手渡してみると、クワガタは期待を裏切らず彼の手のひらをガシッと挟み込みました。彼は悲鳴を上げ、周りのみんなは大爆笑です。思いがけず現地の人達と楽しい楽しいひと時をすごせたのでした。
しかしまあ、本当にヒラタばかりだなあ。もしかして中国にはコクワっていないのかなぁ。そしてなんとこの洞からはメスも出てきました。
良い虫に出会えたのでそれ以上の欲は無くなりましたが、せっかくなのでもう少しブラブラしてみます。すでに日は傾いています。
林の脇にある荒地を歩いてみたら、怪しい飛び方の虫が足元から飛び出しました。その飛び方に気になりました。もしや………!?
ヒメハンミョウかよっ!!??
………ハンミョウには恵まれないな。
そろそろ糞虫も探してみたいところですね。
6月14日
上海も梅雨入りしたようで蒸し暑い日々が続いています。この街にも慣れてきたせいかワクワクドキドキする感覚が鈍ってきたかもしれません。先週の日曜日もそして今日ものんびり部屋で過ごしていました。今日も早起きしましたが、洗濯をしたり、調子の悪いパソコンをいじってみたりしていたら気がつくと昼を過ぎていました。
うかうかしているとあっという間にシーズンが去ってしまいそうです。午後になって数時間だけでも散策して来ようと出かけることにしました。
毎朝出勤途中にバスの車窓に気になる林があります。アパートからは地下鉄で4駅ほど。いつも「けっこう桑が生えてるな………、」と。
しかし現地に着いてみると林とはいえ、樹木の幹の太さも樹高も揃っていて、どれも植林されたものなのは一目瞭然です。どこもかしこも新しい林ばかりのようで心が逸りません。ところどころで姿を見せる運河では多くの釣り人が糸を垂らしています。網で掬えば珍しいゲンゴロウでも掬えるのでしょうか。
木々を眺めながら歩いているとポツポツと桑が生えています。地元京都では桑の木があれば何かしらの虫に出会えるイメージがあります。とはいえキボシカミキリやヒメヒゲナガだったりしますけど。ところが幹を眺めても梢を眺めても静かなもんです。羽脱孔はあちこちに見受けられるのできっと……、いや、やっぱりキボシかな。
何気に覗いてみると、おっと!
なにやら虫の腹が見えました。そこそこ大きい。
むむむ…、
地元ではこういう場合は大概ゴキブリです。オオゴキブリです。
すると私に覗かれていることに気づいたのかその虫がノソノソ動き出して洞の奥へ移動を始めました。その瞬間、黒光りするエリトラがチラと垣間見えました。
これは確認しなければなりません。落ちている小枝を使って掻き出そうと試みますが案の定、奥へ奥へと引っ込んでいきます。こうなると難しいかな…、と思いつつ、ふと幹の反対側へ回り込んでみると、別の穴からそいつの尻が見えています。そうかこの穴は繋がっているのか。
それからは彼の逃げ場を無くすため、あっちから、こっちから小枝を差し込んで追い込んでいきます。その作戦中、穴の中からスッと姿を現した大顎を目にした時はショックでした。
なんだこいつは!?
木の洞に小枝を何本も突っ込んでカリカリほじくっている謎のおじさんに気づいた中国人の若いグループが立ち止まってこちらを見ています。やがてなにやら中国語で話しかけてきましたが私は彼らが何を言っているのか皆目わかりません。ただ手招いて「この中に何かいる」ということを指差しながら伝えるしかありませんでした。それに気づいた彼らも木の棒を使ってあちこちの穴から虫の追い出しに参加しました。その間、私は一歩下がって眺めていました。全く喋らない私を訝しく感じているであろうと、拙い中国語で「私は日本人です。」と伝えると、ああ、と納得したような反応をしながらも変わらず一緒になって夢中に虫の追い立てを続けました。それでもその虫はなかなか洞の中から出てきません。やがて中国人の彼らも諦めてしまったので、再び私の番です。せっかくだから彼らに何とか見せてあげたいと、洞の中に指を強引に突っ込み押さえた虫を引っ張り出しました。
これは凄い!!
一見、何クワガタかわかりませんでしたが、落ち着いて観察すればやはりヒラタのようです。しかし日本のヒラタクワガタでこんなに大顎の長いものは見たことがありません。チョウセンヒラタクワガタなのでしょうがまさかこんなに大きいものがいるとはビックリです。
中国人の一人が嬉しそうに眺めていたので手渡してみると、クワガタは期待を裏切らず彼の手のひらをガシッと挟み込みました。彼は悲鳴を上げ、周りのみんなは大爆笑です。思いがけず現地の人達と楽しい楽しいひと時をすごせたのでした。
しかしまあ、本当にヒラタばかりだなあ。もしかして中国にはコクワっていないのかなぁ。そしてなんとこの洞からはメスも出てきました。
良い虫に出会えたのでそれ以上の欲は無くなりましたが、せっかくなのでもう少しブラブラしてみます。すでに日は傾いています。
林の脇にある荒地を歩いてみたら、怪しい飛び方の虫が足元から飛び出しました。その飛び方に気になりました。もしや………!?
ヒメハンミョウかよっ!!??
………ハンミョウには恵まれないな。
そろそろ糞虫も探してみたいところですね。
by aile21
| 2015-06-18 01:32
| 上海編
京都南部の野山で宇治虫親子が発見した生き物の記録 出演 とうちゃん(aile21)・かあちゃん・ちび宇治虫(showzine)
by aile21
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