もういちど沖縄 2

 (4月20日)

 朝7時半に起きて予定を考えました。何れにしても網が無くては採集にならないので焦っても仕方がない。

 昨晩の無鉄砲な突撃ではあまりにお粗末なのでS公園はもう一度行かねばなるまい。先月末にkamikiri2005さんがオキナワリンゴとオキナワキボシを採集されているので情報としては堅いです。地図で見る限りさほど大きな公園とも思えないので、良くも悪くも早めに見切りをつける事が出来れば午後からは他所へ行けば良いか…。

 もう現場はすぐそこだ。午前10時のダイソーの開店を待つまでがもどかしかった。出張先にダイソーがあれば、時間さえあれば採集はできます。いつもの虫採り網と透明ビニール傘を買い、さあ出発だ。

 公園に入ると昨晩暗闇の中でウロウロしていた地形を思い出しました。あまりにあけっぴろげで綺麗に整備された遊歩道、そんなところはたまに梢を掬ってみたり、薮を叩いてみたりするものの、見覚えのあるハムシダマシやゾウムシが入るくらいなので早々に先へ進みます。

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 石段を上ると辺りの様相は一変します。葛のような蔓が辺り一面に繁茂しています。薄紫色の朝顔(昼顔か?)も負けじと絡み合っています。舗装のされていない土の露出した山道が薮の向こうの森の中に消えていきます。
 そう、昨晩はここから広がる暗闇に怖じけづいてスゴスゴと引き返したのでした。やはり撤退は正解だったと実感したのと同時にもう一度来たのもまた正解だったようです。虫の気配が俄然濃くなってきた気がします。耳の横を「ブブブ…」とすり抜けて行った虫が先の草薮に泊まりました。ナナホシキンカメムシです。朱色の大きなハムシも無数に飛び交っています。「うん、これなら…」ワクワクしてきた。

 が、しかし花が見当たらない。草むらを掬うとハムシ、ゾウムシ。ビニール傘を叩き網代わりにブッシュを叩くとゴロゴロとカタツムリが大漁です。ポツポツと雑甲虫は採れてます。おそらくどれも本土にはいないものだろう。けれど、なにか物足りない。花形が採れません。花形?やはりカミキリ、コガネムシやハナムグリ、タマムシあたりのメジャーどころが欲しいのはミーハーな素人としては当然なところです。

 伐採されたのか倒されたのか朽ちかけた一本の木を草むらの中に見つけました。小枝からポキポキと折ってみます。するとすぐに小さな白い蛹が枝の中に収まっていました。クネクネ、ウネウネと蛹室の中で踊っていました。思った通りカミキリでした。
 持って帰れそうなものは蓋をして2、3本袋に容れました。
そのうち、羽脱直前の新成虫が現れるようになりました。その場で同定は出来ないがサビ系かと思われるます。自己初には違いありません。地味ではあるがちょっと嬉しくなってきたかな。蛹と成虫がゴロゴロと出てきます。

 すると今度は何か見覚えのあるようなカミキリが混じるようになってきました。去年の材採でウンザリするほど湧いたアトモンマルケシカミキリに良く似ています。そしてとうとうそればっかりになってしまいました。
 心境複雑…、というより『ガックリ』。

「アトモンマルケシぃ〜?」

沖縄産ということで2、3の個体はあってもいいけど、材から湧き出てくるのは勘弁して欲しいというのが本音です。

 しかし、これが素人の浅はかさ。ホテルに帰着後、ロビーのパソコンで調べてみるとアトモンマルケシは沖縄本島にはいないらしい。ということは…?自己初のカミキリには間違いないようです。一転して嬉しくなってしまうところが我ながら単純。オキナワノブオケシカミキリかもしれない。

 さて探索は続く。オキナワリンゴはどこだ?
リンゴ系は過去に3種ほど採れているが、そのどれもがフワフワと飛翔中のを掬ったもの。しかしここでは全く見られません。葉っぱの裏についているとも言われるが、葉っぱなんて無限にある。タブとヤブニッケイは辛うじて区別出来ているとは思うのだが、ルッキングなんてキリがない。もうこうなったら「これは?」と思うところを闇雲に掬っていくしかない。

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 日差しは強い。気温もグングン上がっているようだ。日向と木陰のコントラストの強さはすでに夏のものになっていました。暑い。喉が乾く。

 おっ!?久しぶりのコガネムシ!
と思えば…、セマダラコガネ。orz
エリトラの模様は変異が多いし、これもなんか雰囲気が違うなぁ、と思っていたところこれはオキナワセマダラコガネ。
…なんでも『オキナワ』がつくんだなぁ。

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 公園上部の森はいたるところに大きなお墓がありました。山道を歩いていると殆どがお墓に通じています。沖縄のお墓は巨大で大家族制を色濃く残しているようです。高台の最上部と思われる場所にお宮がありました。観光客など訪れないだろう道程ではあったがなかなか良い景色に癒されました。

 相変わらずパッとしない感がいなめないまま、別の道を下っていきます。掬ったり叩いたりしながら森の中をあみだくじのように進んで行くうちに、他所のポイントへの移動はとうに諦めていました。

 その瞬間は突然に、そしてあっけなくやってきた。
「おおぉー! 入った、入った!!」
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 エリトラがグレー一色のオキナワリンゴカミキリでした。
…いた。やっぱりいたんだ。それはタブノキでもヤブニッケイでもなく、ただテキトーに雑木を掬っていた時でした。

 「ハァ〜〜〜…」深い安堵の溜め息が漏れる。これでなんとか一区切りつけられると思ったら、猛烈な空腹感に気がつきました。「あぁ、お腹すいた〜。」

 一旦公園を出て、弁当とお茶を買って腹に収めました。
「次はキボシか…」公園に戻り、小一時間フラフラとあてもなく彷徨うも一度落ち着いてしまった気分はそれ以上盛り上がりませんでした。

たった一日だけ、沖縄で時間が取れたのに一日中ず〜っと市内の公園にいたなんて我ながら呆れてしまった。

夕風が吹き始めていました。帰りに『ゆいレール』から那覇の街を眺めながら「次はいつ来れるんだろう・・・」と考えていました。一度終わった沖縄採集旅行にロスタイムを貰ったような一日でしたが、ヘトヘトになるくらい没頭できました。
あ〜、楽しかった。
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by aile21 | 2008-04-24 21:12 | 沖縄編


京都南部の野山で宇治虫親子が発見した生き物の記録  出演 とうちゃん(aile21)・かあちゃん・ちび宇治虫(showzine)


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