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喜撰山

わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり

<喜撰法師  古今集>


 なんだか連日ポカポカ陽気で一気に春めいてきました。まだかろうじて2月だというのに。
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 久しぶりに宇治の山を歩いてきました。
喜撰山(416m)は宇治の最高峰。とはいえすぐ近くまで車道が伸びているのですぐ着くだろうと思いきや、数年来の運動不足、ここに極まれりと実感しました。
歩き始めてにわかに心臓はバクバク、息はゼエゼエ・・・。

これと言って展望の利く山でもないし、森の中なので冬場以外は歩きにくいことこの上なし。
そんなわけで山頂まで辿り着いたのは今回が初めてでした。

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 頂上も木立に囲まれていてやはり展望なし。
しかしこの山は百人一首でお馴染み(?)の喜撰法師が住んだ(修行かな?)所らしい。たしかにあの歌は記憶の片隅を探せばなんとか見つかる歌だと思います。
この山頂直下にその洞窟があるというのは知っていたので今日は足を延ばしてみました。おそらく地元の山岳会が残した道しるべをたよりに急な斜面を下りていきます。
本道から寄り道して下降する時というのはなかなか不安になるものです。
「どうせまたあとで登り返すんだからなあ・・・、あんまり下がりたくないなあ。」

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 尾根筋から標識に促され、西向きの斜面をトラバースしながら進むとなにやら怪しい岩の塊が目に飛び込んできました。
そもそもこのエリアは花崗岩地帯のように岩頭が露出しているようなところは殆どなく、どこもかしこも落ち葉に埋め尽くされているので、「洞窟なんてあるのかあ?」と怪訝に思っていました。
なんともかわいいお洞です。

この時点で既に汗だく。あまりに暖かいのでフリースは置いてきましたが、それでもパーカーがただの荷物になってしまいました。ペットボトルのお茶も1本じゃあ足りないようです。

e0083097_062737.jpg どれどれ・・・、どんな洞窟なのかな・・・?

と、正面に回ってみると!!

洞窟というよりは岩の凹みに近い感じでした。しかしその奥には小さな喜撰法師様が水に浸かってしっかりと鎮座されていました。

なるほどねえ。きっとこの法師様がこの山の主なんだな。
今まで沢山の虫を採らせてくれてありがとうございました。(いつもは他の神社で採集祈願してたんだけど・・・)


 さて今回の目的はもう一つありました。
いろいろな角度から宇治の山を眺める事がありますが、数年前から気になっていた場所があります。それは遠くから臨むと常緑樹が大半を占めるエリアに突然落葉樹の塊が横たわっているような場所なのです。春の新緑、秋の紅葉と色彩の地味な常緑樹の中にそこだけ絢爛豪華な色の絨毯を敷いたようです。しかもそのエリアは急峻な斜面なのにそこだけ平らで台地状に見え、日当たりも良く、
「ああ〜〜、なんかあそこ良さそう!」
「行ってみた〜い!」
「いい虫とれるかも?」
と自分の中で勝手に『別天地』扱いしてきました。

ところが、自然の要害に阻まれ正面からは挑めず、もちろん登山道もなし。
辿り着くには山の反対側から延々と歩き、途中からは道無き道の森の中を探りながら行かなければならないようです。ネットや国土地理院の地図で何度も検討してきましたが、行けるところまで行ってみる事にしたのです。

 喜撰山を一度下りて車道を少し歩きましたが、やがて「おそらくここだ。」という地点からおもむろに山の中に入っていきました。尾根歩きとは違い、見通しのまったく無い森の中は現在地を認識するのが難しいです。しかも急な斜面を獣道のような筋を辿りながら進むと上がったり、下がったりで目的の台地に近づいているのか、下がりすぎたのか、はて?
連日の陽気のせいか地面を覆う落ち葉はどれもカサカサに乾燥しています。長年使い古した登山靴のソールはただでさえツルツルなので落ち葉に足を取られて何度も転びました。
e0083097_105971.jpg 気がつくとアセビの蕾みが今にも開きそうです。
やはり春はすでにやって来ている模様。

携帯電話のGPSが使えるんじゃないかと考えてきましたが、電波不良でなかなか接続できず、業を煮やして勘で進んだりしました。やっとGPSが接続できたと思いきや、目指す方向からややずれた方角に進んでいた事に気づきました。
ヤバい、時間がない。
少し方向を修正してやや開けた林床に出ました。
ああ、見えた。・・・・まだ30分以上掛かるな。行って・・・、帰って・・・・・・・・・・・ダメか。
林道ならまだしも道無き山の中で日暮れを迎えるわけにはいかないので苦渋の決断。『別天地』を目の前にして引き返す事にしました。ざ〜んねん。
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 それでも帰りキツかった事を考えれば引き返して良かったようです。初めて入ったエリアだったけど、沢筋はイノシシのヌタ場だらけ。このあたりはどこでもそんな感じだなあ。
下草が繁茂したら山の中は殆ど歩けないから、次のチャレンジはいつになる事やら。家を出る前に考えていた別の案、「カゴノキの材拾い」にすれば良かったかな。

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 喜撰山を臨む。(右奥が山頂)

おっと忘れた!
肝心の採集は?
歩いてばかりで殆ど持ち帰りはありませんでした。しかし時たま朽ち木を崩してみたり、落ち葉を篩ったりはしましたが、う〜ん・・・。朽ち木はアカハラクロコメツキとか、やっぱりエグリゴミムシダマシとか。(笑

 ところが今回、山道の途上で二度、溜め糞に遭遇しました。(またそれか?)
無視は出来ません。落ち枝でほじくりながら観察です。チビシデムシ、ハネカクシ数種が蠢いていました。
そして大きな糞の塊をひっくり返してみるとそこには直径1cmくらいの穴が地下に伸びていました。
初めドッキリ、しかしすぐに「どうせいつものアレだろう。」と意気消沈。掘り起こしてみると案の定センチコガネがコロコロと出てきました。やっぱり。彼らは寒いうちから活動してるよね。
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モンケシガムシ

 模様付きのガムシという事でちょっと嬉しい初採集。

しかし・・・、ガムシ。
・・・・ガムシ、・・・・・・ガムシ。

微妙だなあ〜。
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by aile21 | 2010-02-24 01:26 | とうちゃん

マジカルピック

 相変わらずインドアなネタで攻めてみます。(爆

 微小な甲虫を標本にする場合、三角台紙(正式な名称は知りません)の先にちょこんと合成糊で貼付けます。
しかしこれがまた面倒くさい。なにしろ指先で摘めないし、無理に摘めば潰れてしまいます。
ピンセットでも摘む力加減では潰れてしまったり、丸っこい甲虫ではそお〜っと摘むと滑って弾けてどこかへ飛んでいってしまいます。いや、これよくやるんですよ。

通常は甲虫をひっくり返して置いておき、先端に糊をちょこっとだけ付けた三角台紙を逆さまに上から押し当てて貼付けてきました。しかしひっくり返した甲虫は丸いものだとクルクルと回ってしまったり、勘で貼付けた虫が斜めにかしいでいたりとなかなか難儀します。


e0083097_184035.jpg そこでこんなアイテムを見つけました。

マジカルピック114(←リンク)

吸着式ピンセットというそうです。
先端に柔らかい樹脂のようなものがマッチ棒のように付いていてそれが触ったものを優しく吸着してくれます。

本来は女の子が流行り(?)のネイルアートや携帯電話などをデコレーションする時に小さい飾りを貼付けるための道具だそうです。
(あのキラキラしたのはブリオンっていうのかな? ラインストーンとかいうらしい。)
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 試しに使ってみると、ご覧の通り。

体長 約1.8mmの虫もしっかりホールドしてくれました。(ゴミもよく付いてるけど)

その吸着力は適度に弱く、糊を付けた三角台紙に当ててみると虫はピックから離れてしっかりと台紙の方に移動できました。

これ、けっこういいですね〜!。
微小甲虫でお困りのあなたっ!
オススメですよ。

ホームセンターのネイルアート関連のコーナーで見つけました。女子高生の間に入って探すのはちょっと・・・、という方は平日の昼間に行きましょう。(笑
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by aile21 | 2010-02-16 01:40 | こんなものみつけた

虫の写真

 前日記でえいもんさんから微小甲虫の写真について問い合わせをいただいたので、この機に宇治虫での標本写真について書いてみます。

 まずはじめに書かなければならない事は、
「私はまったく写真の知識が無い」という事です。
そのためカメラについては何も語れません。なんとなくわかっているのは露出を上げると明るく写るという事くらいかな。昆虫愛好家は写真に造詣の深い方々が多いのでハードに関してはその道の名人様のサイトを参照していただきたいと思います。

5mm以下の虫を写真に収めようとするとやはり実体顕微鏡を使わなくてはなりません。
我が家の顕微鏡は頂き物で40倍まで拡大できます。
2006/12/28の日記を参照してください。

これにコンデジのレンズを接眼して撮りますが、機種によっては相性があるようで、我が家に2台あるコンデジでも一方は上手くピントが合いません。

私の写真術ではシャッターを押すだけなのですが、それで撮れた画像はまず間違いなく薄暗く写っています。そこでブログ用に加工(レタッチ)を施します。

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 机上に蛍光灯スタンドで光を当て、白い紙(コピー用紙)に並べた虫を撮ります。

そのままだとやはり薄暗く仕上がっています。
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 写真加工用のソフトに取り込んで明るさを調整します。

多くの場合、バックの白い紙が真っ白になるくらい明るくします。しかし虫の大きさや色によっては明るくし過ぎると触覚や細い毛がバックにとけ込んで消失してしまう事があるので適度なところで決定しなければなりません。

 またあまり明るくし過ぎると白っぽくなってしまい発色が曇りがちです。そのため「彩度」を少しだけ上げてみます。
この作業はくすんでしまった標本を採集時に近い状態に見せることができますが、現物の標本とかけ離れてしまう事もありほどほどにしたいものです。いろいろいじくって「加工品」にするより、「補正」程度にとどめているつもりですが程度の差は個人の主観によるものでしょう。色彩をいじくってアオオサムシをアカオサムシに変えてしまうことも出来ますがそこまでいくと記録写真とは言えないですね。

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 次に顕微鏡の筒部分にあたる黒い部分を消してます。また写真にゴミが写り込んでしまっていたらそれも消してしまいます。

 最後はブログ用に適当にトリミングすれば出来上がりです。

 これが前記事で実際に使った画像です。


デジタルカメラの画像というのは実に膨大な情報を含んでいるようで、例えば夜間の樹液に集まる虫の写真などでも明るさ調整をしてみると、真っ暗に写っているバックの暗闇も明るく照らし出してくれたりします。その時には気がつかなかったものを発見できることも・・・?

それとこんな事もしていたりします。


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 顕微鏡で1〜5mmの虫を撮影するとピントが全体に合う事がありません。

そのため出来るだけ1個体ずつ写したいのですが、それぞれの写真を羅列していくとブログのページ数も増えてしまいますし、記事とのバランスをとるのが難しくなってしまいます。
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 そこで集合写真にしてしまいます。

このように一つ一つの写真をそれぞれ撮ります。

そして先の方法でそれぞれ明るさ調整など補正しておきます。
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 それを重ね合わせて集合写真を作ります。

こうやって3種のハネカクシの写真を合成しました。
e0083097_2219257.jpg
こうしてブログ記事用の画像ができました。(笑
 
あくまでブログを見てくれる方々に「見やすいように」とのつもりで加工、合成しています。
写真加工ソフトは様々なものが出ていますし、多くのPCに付属でインストールされている事がありますから試してみるとよいでしょう。
昔からの写真・カメラ愛好家の方の中には「こんなの邪道だ、インチキだ」と思われる事もあるかもしれませんがどうぞお手柔らかに。(笑
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by aile21 | 2010-02-11 22:29 | とうちゃん

雑虫まみれ

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 今日はがらにもなくクラッシックのコンサートに行ってきました。大阪城間近のいずみホールはこじんまりとしていながらも良い雰囲気のホールでした。不覚にもというか予想通りというか途中は睡魔との戦いに・・・。横をみるとshowzineも舟を漕いでるじゃないか。血は争えない。


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 三川合流から持ち帰った土から摘出した虫がだいたい出揃いました。
なんともまあ、ハネカクシの多いこと。

e0083097_23047100.jpg同定はまだですが多くの虫は見覚えのあるハネカクシ。
その中でも一目で初見と思えるのはこの3種。
左の小さいのはハネカクシなのかどうかも怪しいけど。
右の鎧に覆われたのはハネカクシにもかかわらず体が硬めで甲殻類のような印象です。
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 キスイムシを見つけるとテンションが下がります。前胸に付いている吸盤状の突起で同定するようだが観察すればするほど微妙な事に混乱してきます。

ケシコメツキモドキってどこでも出てくる。

パッと和名が出てくるわけではないがこれらはどれも既採集と思われる連中でした。
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 極小のアリヅカムシがいくつか採れたと思い顕微鏡で観察してみるとなにやら怪しい。
なんかひげもじゃ。虫の場合「ヒゲ」と呼ばれるのは触覚の事が多いけれど、この虫はあきらかに頬ヒゲがモジャモジャと生えています。というか体全体ですけど。
なんだこりゃ〜!
保育社の図鑑でアリヅカムシのページを開いてみる。
・・・・・んん〜〜〜〜?
アリヅカムシって上翅が小さくて腹部の先端がはみでているものばかりなのに、この虫はしっかりと上翅に覆われています。全体のシルエットもなんか違うような気も・・・。
アリヅカムシじゃないのかな。
過去のアリヅカムシ標本は現在お出かけ中なので比較できないのが辛いところ。
まあ、自力では同定にこぎ着けない事には変わりありませんけどね。
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 ゾウムシはこの2種だけ。
ちょっと残念。もう少し出るかと思ったのになあ。
しかも右のはよく見る常連さん。

森林での落ち葉篩とはやはり様相が違いますね。


他にはテントウムシ5〜6種。そのうちヒメテントウが3種いる模様。
小ハムシはミドリ、サメハダツブノミ、不明の3種。
ガムシが2種くらい。

今回持ち帰った土は葦の根元をメインに集めたものでしたが、実はもう一つ。
広く茂った葦の中に目が留るものを見つけました。薄い黄色の木の実がこんもりと集まってクチャクチャになっている場面に出くわしたのでした。
「これは・・・、糞だな。」

黄色い実はセンダンの実のようです。タヌキかなあ?
「これは起死回生のワンチャンスかもしれないっ!!」っと降りしきる雨の中でその塊と周辺の落ち葉、表面の土を別に持ち帰ったのでした。

通常の落ち葉篩と違い、この糞まじりの土はなんともダニの多いものでした。それでもワクワクドキドキ気分も高まりつつその中に潜むムシを探したのでした。
そして多くのハネカクシに混じって姿を現したのは・・・・

・・・・・・

・・・・

・・・


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2体のセマダラマグソコガネ。
そりゃぁ、予想はしてましたけどねぇ。

ええ〜っ・・・・!

それだけぇ?

ガックリ。

あれっ? もしかしてオビモンマグソ?

のわけないか。ハァ〜。


今回は手抜きのため同定を殆どしてません。あしからず。
(ハネカクシたっぷりあるし。)
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by aile21 | 2010-02-07 23:55 | とうちゃん


京都南部の野山で宇治虫親子が発見した生き物の記録  出演 とうちゃん(aile21)・かあちゃん・ちび宇治虫(showzine)


by aile21

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