ヤマシャクヤクの森
寒い寒い一週間でした。GWもあっという間に終わってしまい、バタバタと仕事に勤しむ毎日。コンクリートに囲まれた地方都市に数日間出張していました。これで毎日が採集日和だったらストレスも溜まったでしょうが、あいにくの低温と雨のおかげでわりきって仕事ができました。それにしてもずいぶん寒かったです。少し風邪ひいてしまったかも。
GWの最終日(5/6)は京都北部に春の妖精に会いに行って来ました。その記録を綴っておきます。
今年から神戸にお勤めされることになったGenkaさん(東京昆虫記録館)を乗せて、朝もやのなかを快適に進んでいたのですが、なんとスピード違反で捕まるという失態を演じてしまいました。そんな予想外の展開で始まった今回の採集行。はてさて・・・。
待ち合わせの場所に着くと、かあちゃんから連絡を受けていたevitaさんがニヤニヤ。ああ・・・、待ち合わせ場所まで1kmもなかったよ・・・・。
今回はevitaさんの秘密のポイントにGenkaさんをご案内するというので、ついついくっついて来てしまいました。evitaさんのおかげで京都北部は何度か訪れています。やはり内陸の京都盆地とは森の雰囲気からして違います。地元宇治の山では少しづつ木の名前がわかってきているのに、こちらの森に入るともうなにがなんだか・・・。植生が違うだけでワクワクしてきます。
林道終点の少し手前で車を置き、歩いて山道を登っていきます。あたりは涼しい杉林。昨日の雨が嘘だったかのように晴れ渡り、雲一つない青空。日向は暑苦しいこと間違いない。さわやかな風が吹き抜ける杉木立の中は気持ちの良い空間でした。
やがて林床に真っ白な玉のような花がポツポツと見受けられるようになってきました。ヤマシャクヤクです。昨年は初めてこの花を見たときには、可憐で優雅で、すっかり魅入ってしまいました。
さっそく花の中を覗いていきます。
「もしも〜し、いらっしゃいますか〜?」
しかしその界隈はどこもお留守のようです。evitaさんは「もっと上にもポイントが・・・」とかあちゃんとちび宇治虫を連れて登っていってしまいました。
どうもこういったところで自分の貧乏性が出てしまいます。せっかくのポイントなのだからしらみつぶしに見てやろうとワシワシと下草をかき分け、斜面を登り、目につくヤマシャクヤクの花をつぶさに見て回りました。
一度、山道に戻ってみるとGenkaさんの長竿が置いてあります。Genkaさんも粘っているようです。そこから山の斜面を見下ろすと一面にヤマシャクヤクの群落が見えました。
「・・・・でも、ここにGenkaさんの網があるってことは、あそこはチェック済みだろうなあ、どうしようかな・・・」と迷っていると、
「aile21さん、なんとか一つ採れました。」
後ろからGenkaさんの声がかかりました。
「おおっ! そうですか、やったやった、良かった良かった!!」私が案内しているわけでもないのにホッとしてしまいました。Genkaさんさすがですね。
どうやらそのあたりは2人で調べ尽くしたようなので、先に行ったevitaさんたちを追いました。おしゃべりしながら歩いていたのですが、Genkaさんによると奥多摩(Genkaさんが通い詰めているフィールド)では針葉樹の森には下草が生えていないそうです。そんなこと考えた事なかったけど、宇治ではどうだったかな。間伐の進んでいない森では真っ暗で下草は生えていない気もするけど・・・、そういえば昨年のポイントも明るい杉林でした。
やがて登山道が尾根筋に出ようかという、これまた明るい木立の中にevitaさん、かあちゃん、ちび宇治虫の姿が見えました。
「こっちにいっぱいいるよ〜。」とかあちゃん。
・・・ガクッ。
なんだか、こういう経験は以前もあったなあ。K山のコブ叩きの時も、一人ねちっこくしらみつぶしにチェックしながら登って行くと、先行者達が一番良いポイントでしっかり採集を終えていたなんてことが・・・。
フタスジカタビロハナカミキリ(通称キマル)
そこには花の中で交尾中のペアがいたり、花の脇の葉にちょこんと留まっているのがいたりと一番良い状態の群落でした。「今年は姿を見るだけでもいいなあ。」なんて思っていましたが、やっぱり・・・、せっかくだからと2つだけ摘んでお持ち帰りすることにしました。性ですね。(笑)
そのヤマシャクヤクの群落の近くにこれまたタラノキの群落がありました。宇治では半ば諦めているネジロカミキリはどうかな・・・・?
ここはevitaさんが以前、よくネジロを摘んでいたところとのこと。あっけなくevitaさんやGenkaさんが見つけられて、宇治虫一家でいただいてしまいました。
ネジロカミキリ初ゲット(?)だぜー!!
ヤマシャクヤクの森を堪能してポイントを移動しました。海を見下ろす高台のポイントは日差しを遮るものもなく初夏を思わせる陽気でした。行楽客も多く大きな網を持って歩くのが場違いな印象です。
ここでノグルミの木を教えていただきました。実物を見るのは初めてです。ヤシャブシのような実がなっています。これにはウヒヒなカミキリが潜んでいるとのことで枯れ枝をボキボキっと折って持ち帰り。Genkaさんは折りたたみのノコギリを使っていました。スマートです。(いや、実は私の鞄にも入っていたのですがね。100均のノコギリが・・・)
植栽で植えられたカエデが著しく食い折られていました。アオカミキリの仕業だそうです。えええ〜っ!!こんなに太い枝も??
幼虫が中から食い折って、残った枝には点々と糞出しの穴が続いていて・・・。いろいろ教えていただきました。ふ〜ん、宇治でも探してみようっと。
遅い昼飯をとってまた移動です。
最後のポイントはなんと民家の裏庭です。植栽で植えられているコデマリにクラルアが来るというのでやってきました。もうほんとに海がすぐそこ、目の前だというのに?
満開のコデマリでしたが、当初風があったせいかクラルアは見当たりませんでした。株の裏にまわったり、下から覗き込んでみたりすると何やら小さなカミキリが。
「なんか、ヒゲナガコバネがいるぞ。」
コジマヒゲナガコバネカミキリ
evitaさんにしてみるとハエや蚊と同じ扱いなくらい超普通種らしいです。しかし我が家はオダヒゲナガコバネしか採集したことが無いので有り難く摘ませていただきました。私とちびで1ペアづつ。
ちびはevitaさんが見つけたズマルトラも頂きました。これも我が家初。
そして数十分後とうとうクラルアがやってきたのです。
evitaさん曰く「ホタルカミキリみたいなもの」贅沢なお言葉です。
・・・が、これが普通に庭木に群がっているとしたら、たしかにホタルカミキリのようなものかも。次は自分でポイント見つけてみたいなあ。
今日の採集品(aile21)
キマル(フタスジカタビロハナカミキリ) 2exs.
フタオビヒメハナカミキリ 2exs.
ネジロカミキリ 1ex.
ズグロキスイモドキ 5exs.
オオナガヒラタコメツキ 1ex.
オオアカマルノミハムシ 1ex.
コジマヒゲナガコバネカミキリ 2exs.
クラルア(クビアカモモブトホソカミキリ)
evitaさん、毎回いろいろなカミキリを採らせていただいて有り難うございます。思い起こせば二年前。ルリボシカミキリが採れなくて困っていた時に助けていただいた時からのおつきあいになりますが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。今夏のナイター、楽しみにしております。
Genkaさん、きっと関西の虫事情にもすぐ馴れてしまわれるでしょう。むしろ私達が教えてもらう事が多くなるでしょう。これからも機会があればご一緒しましょう。よろしくお願いいたします。
GWの最終日(5/6)は京都北部に春の妖精に会いに行って来ました。その記録を綴っておきます。
今年から神戸にお勤めされることになったGenkaさん(東京昆虫記録館)を乗せて、朝もやのなかを快適に進んでいたのですが、なんとスピード違反で捕まるという失態を演じてしまいました。そんな予想外の展開で始まった今回の採集行。はてさて・・・。
待ち合わせの場所に着くと、かあちゃんから連絡を受けていたevitaさんがニヤニヤ。ああ・・・、待ち合わせ場所まで1kmもなかったよ・・・・。
今回はevitaさんの秘密のポイントにGenkaさんをご案内するというので、ついついくっついて来てしまいました。evitaさんのおかげで京都北部は何度か訪れています。やはり内陸の京都盆地とは森の雰囲気からして違います。地元宇治の山では少しづつ木の名前がわかってきているのに、こちらの森に入るともうなにがなんだか・・・。植生が違うだけでワクワクしてきます。
やがて林床に真っ白な玉のような花がポツポツと見受けられるようになってきました。ヤマシャクヤクです。昨年は初めてこの花を見たときには、可憐で優雅で、すっかり魅入ってしまいました。
さっそく花の中を覗いていきます。
「もしも〜し、いらっしゃいますか〜?」
どうもこういったところで自分の貧乏性が出てしまいます。せっかくのポイントなのだからしらみつぶしに見てやろうとワシワシと下草をかき分け、斜面を登り、目につくヤマシャクヤクの花をつぶさに見て回りました。
一度、山道に戻ってみるとGenkaさんの長竿が置いてあります。Genkaさんも粘っているようです。そこから山の斜面を見下ろすと一面にヤマシャクヤクの群落が見えました。
「・・・・でも、ここにGenkaさんの網があるってことは、あそこはチェック済みだろうなあ、どうしようかな・・・」と迷っていると、
「aile21さん、なんとか一つ採れました。」
後ろからGenkaさんの声がかかりました。
「おおっ! そうですか、やったやった、良かった良かった!!」私が案内しているわけでもないのにホッとしてしまいました。Genkaさんさすがですね。
どうやらそのあたりは2人で調べ尽くしたようなので、先に行ったevitaさんたちを追いました。おしゃべりしながら歩いていたのですが、Genkaさんによると奥多摩(Genkaさんが通い詰めているフィールド)では針葉樹の森には下草が生えていないそうです。そんなこと考えた事なかったけど、宇治ではどうだったかな。間伐の進んでいない森では真っ暗で下草は生えていない気もするけど・・・、そういえば昨年のポイントも明るい杉林でした。
やがて登山道が尾根筋に出ようかという、これまた明るい木立の中にevitaさん、かあちゃん、ちび宇治虫の姿が見えました。
「こっちにいっぱいいるよ〜。」とかあちゃん。
・・・ガクッ。
なんだか、こういう経験は以前もあったなあ。K山のコブ叩きの時も、一人ねちっこくしらみつぶしにチェックしながら登って行くと、先行者達が一番良いポイントでしっかり採集を終えていたなんてことが・・・。
そこには花の中で交尾中のペアがいたり、花の脇の葉にちょこんと留まっているのがいたりと一番良い状態の群落でした。「今年は姿を見るだけでもいいなあ。」なんて思っていましたが、やっぱり・・・、せっかくだからと2つだけ摘んでお持ち帰りすることにしました。性ですね。(笑)
そのヤマシャクヤクの群落の近くにこれまたタラノキの群落がありました。宇治では半ば諦めているネジロカミキリはどうかな・・・・?
ここはevitaさんが以前、よくネジロを摘んでいたところとのこと。あっけなくevitaさんやGenkaさんが見つけられて、宇治虫一家でいただいてしまいました。
ネジロカミキリ初ゲット(?)だぜー!!
ヤマシャクヤクの森を堪能してポイントを移動しました。海を見下ろす高台のポイントは日差しを遮るものもなく初夏を思わせる陽気でした。行楽客も多く大きな網を持って歩くのが場違いな印象です。
ここでノグルミの木を教えていただきました。実物を見るのは初めてです。ヤシャブシのような実がなっています。これにはウヒヒなカミキリが潜んでいるとのことで枯れ枝をボキボキっと折って持ち帰り。Genkaさんは折りたたみのノコギリを使っていました。スマートです。(いや、実は私の鞄にも入っていたのですがね。100均のノコギリが・・・)
植栽で植えられたカエデが著しく食い折られていました。アオカミキリの仕業だそうです。えええ〜っ!!こんなに太い枝も??
幼虫が中から食い折って、残った枝には点々と糞出しの穴が続いていて・・・。いろいろ教えていただきました。ふ〜ん、宇治でも探してみようっと。
遅い昼飯をとってまた移動です。
最後のポイントはなんと民家の裏庭です。植栽で植えられているコデマリにクラルアが来るというのでやってきました。もうほんとに海がすぐそこ、目の前だというのに?
満開のコデマリでしたが、当初風があったせいかクラルアは見当たりませんでした。株の裏にまわったり、下から覗き込んでみたりすると何やら小さなカミキリが。
「なんか、ヒゲナガコバネがいるぞ。」
evitaさんにしてみるとハエや蚊と同じ扱いなくらい超普通種らしいです。しかし我が家はオダヒゲナガコバネしか採集したことが無いので有り難く摘ませていただきました。私とちびで1ペアづつ。
ちびはevitaさんが見つけたズマルトラも頂きました。これも我が家初。
そして数十分後とうとうクラルアがやってきたのです。
・・・が、これが普通に庭木に群がっているとしたら、たしかにホタルカミキリのようなものかも。次は自分でポイント見つけてみたいなあ。
今日の採集品(aile21)
キマル(フタスジカタビロハナカミキリ) 2exs.
フタオビヒメハナカミキリ 2exs.
ネジロカミキリ 1ex.
ズグロキスイモドキ 5exs.
オオナガヒラタコメツキ 1ex.
オオアカマルノミハムシ 1ex.
コジマヒゲナガコバネカミキリ 2exs.
クラルア(クビアカモモブトホソカミキリ)
evitaさん、毎回いろいろなカミキリを採らせていただいて有り難うございます。思い起こせば二年前。ルリボシカミキリが採れなくて困っていた時に助けていただいた時からのおつきあいになりますが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。今夏のナイター、楽しみにしております。
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by aile21
| 2008-05-15 02:02
| とうちゃん
京都南部の野山で宇治虫親子が発見した生き物の記録 出演 とうちゃん(aile21)・かあちゃん・ちび宇治虫(showzine)
by aile21
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